「分かりますか?ラグビーのルール」
卓話者:ホテルカデンツァ東京
営業部 副部長 庄司 亘 様
ラグビーの試合は15人対15人の陣取り合戦!
7人制ラグビーというのもありますが、基本的に試合は15人対、15人で行い、相手のゴールラインまで陣地を進めて点数を競うスポーツです。
メンバーは15人でフォワード8人、バックス7人で構成されています。
フォワードの8人は前線でスクラムを組む、ガタイが大きい人たち。
一方、バックスの7人は文字通り後方でボール運ぶ役割で足が速く俊敏な人たち。
試合時間は…前半40分、後半40分
ラグビーの試合は前半40分/ハーフタイム約10分/後半40分の90分間で試合が行われます。(オリンピックに採用された7人制ラグビーでは前半7分/後半7分の14分で試合が行われます…攻守の入れ替わりが激しく展開が早いので、とても盛り上がりますね。)
試合終了のことをラグビーでは「ノーサイド」と言い、試合が終わったら敵も味方も関係なくお互いをたたえあうのがラグビーというスポーツです。
ラグビーの得点方法
得点方法は大きく以下の4つです。
項目 | 方法 |
---|---|
トライ (点数 5点) |
相手陣地の「H」型ポストの向こう側(インゴール エリア)にボールを置くこと(着地)が出来れば5点。 ※ペナルティートライとは認定トライのこと(7点) |
コンバージョンキック (点数 2点) | トライした地点の縦の延長線上の好きな場所から ボールを置いてキックをし、「H」の縦バーの間と横のクロスバーの上を通すことができれば2点となる。 |
ペナルティーゴール (点数 3点) |
相手がペナルティーを犯した場合「ペナルティーキック」の選択肢が与えられキックが決まれば3点となる。 |
ドロップゴール (点数 3点) |
試合中のどんな場所からも地面にワンバウンドさせてキックして「H」の間に蹴り入れることができれば3点 |
得点が一番、高い「トライ」を決めて(ボーナスキックの)コンバージョンキックを決めれば合計7点となるため、トライを取りにいくのが基本です。また、トライをするときはコンバージョンキックの成功率を上げるためなるべくゴールエリアの中央にトライしにいきます。
しかし試合の状況や場面で、戦略的なペナルティーキックなど3点を確実に狙いに行くことも勝利のためには大事になってきます。
2015年のワールドカップの戦いでは試合が拮抗する場面が多かったためペナルティーキックを選択し、最終的に五郎丸選手のキックで勝敗が分かれる場面もたくさんありましたね。
ボールが楕円形なので、まっすぐ蹴ることが難しいのです。五郎丸選手のキックの精度は素晴らしいもので「お祈りポーズ」が流行ったのを覚えていますよね?!
ラグビーの5つの原則
- ボールを前に落としてはダメ
ラグビーではボールを前に落としてしまうと「ノックオン」という反則になります。試合が白熱してくるとよく起こる反則でもあります。基本的にボールを動かすのはボールを持っている人より後ろで行わなくてはいけないのです。
- パスは自分より後ろに投げる
相手陣地のゴールまで進まなくてはいけない為、どんどんボールを前に持っていかなくてはいけないのですが、味方にパスをする場合、自分より後ろへパスをしなければなりません。もし前に投げてしまうと「スローフォワード」という反則になります。
- キックは基本どこに蹴ってもOK
パスは後ろにしなければいけませんが、キックの場合は前に蹴ってOKです。キックをしてタッチラインの外側に出た時のルールは色々あるのですが、キックを蹴ると相手にボールが渡ってしまうリスクがあります。よく考えて蹴らないと逆にピンチになってしまいます。
うまくいった場合は大きく陣地を前に進めることができるため試合の流れを変える有効な手段の一つです。
- ボールを持っている人にしかタックル/プレーできない
ボールを持っていない人にタックルをしてしまうと反則になります。ラグビーは基本的にボールを持っている人を中心として試合が進みます。
- タックルをされた人はすぐに1プレーしなくてはダメ
タックルされて倒された人はすぐに1プレーの行動をしなくてはいけません。ボールを離さなかった場合は「ノットリリースザボール」という反則になります。倒されてからできる行動としては「ボールを置く」「パスを出す」「すぐ起き上がる」の3つです。
ボールを持っている選手が倒された場合、サポートに来てくれる味方がいることで行動の選択肢が広がり、よりトライ/得点に近づくことができます。
サポートしてくれるメンバーがいないとラグビーは成り立ちません。ラグビーは一人ではできない、全員で戦うスポーツなのですね。
私が中学生のころテレビで食い入るように見ていた「スクールウォーズ」で有名な言葉があります。山下真司さんが言った言葉です…
ワン フォア オール オール フォア ワン
「one for all , all for one」
「一人はみんなのために、みんなは一人のために」ラグビーの精神って本当にかっこいいと思います。
試合中に起こる状況について
- 「ラック」
タックルされた選手が倒れ、その場にいた3人以上がボールを取り合う状況になった場合「ラック」が成立します。(ここでいう3人とは倒れた選手と、倒れた選手からボール奪おうとする相手の選手、3人目は倒された選手のサポートにきてボールを取らせないように敵を押し返す選手のことです。)特に相手のタックルをすり抜けて相手陣地、深くまで進んだ場合はサポートをする選手がいなければ、倒されたときに相手チームにボールを取られる確率がかなり上がってしまいます。
- 「モール」
タックルされた状態で倒れなかった場合に、ボールを持った人を含めて3人以上が立ったまま組み合った状況になったとき「モール」が成立します。モールが成立した時点で相手チームは押し返さなければいけません。フォワード陣が強かったり、もう少しでトライできる状態によくモールが起こります。
モールの状態で進むことを「ドライビングモール」と言いフォワードが強いとかなりゲイン(進むことが)出来ます。
- 「スクラム」
試合が反則やペナルティーで一時中断した場合の仕切り直しとして行われます。
スクラムではそれぞれの両チームのフォワード8人が組み合い、どちらかが投げ込んだボールを奪い合います。スクラムを組み合った後、ボールを投げ入れるまでは停滞した状態を保たなければなりません。投げ入れたボールはスクラム前列の真ん中の選手「プロップ」が足で掻き込んで味方スクラムの後ろまで運びます。この時、手を使ってはいけません。スクラムの後ろまでボールを運び「スクラムハーフ」がボールを出したらスクラム解消になります。
ボールはスクラムの真ん中に投げ入れなければいけません。明らかに味方チームの方に投げ入れた場合は「ノットストレート」という反則になり、相手にボールが渡ってしまいます。ボールを投げ入れた瞬間から押し合いがOKになるので、相手がプレッシャーをかけてきて、ボールを奪われることもまれにあります。
基本的には相手にボールを取られることは少ないですが、スクラム内での駆け引きや攻防もあることを覚えておくと試合をもっと楽しめるかと思います。
- 「タッチキック」
ボールを蹴ってタッチラインの外に出すキック。自陣の22mラインの内側(後ろ)からボールを蹴ってタッチラインからボールが出た場合は相手ボールのラインアウトで試合再開となりますが、蹴った側の陣地を大きく進めることができます。
逆に、自陣の22mラインの外側(前)から蹴ったボールがバウンドせずに直接タッチラインから出た場合は蹴った地点に戻され、相手のラインアウトで試合再開となってしまいます。(いちどバウンドしてからタッチラインにボールを出すことができれば、出た場所から再開することができます。)
タッチキックをうまく蹴れた場合は相手陣地に大きく攻め込むことができるためタッチキックで戦局を大きく変えることができます。
- 「ラインアウト」
タッチキックでボールがタッチラインを出たときや、タックルをされたりして、体がタッチラインを出てしまった場合の仕切り直しとして行われます。どちらかのチームの一人がボールを、まっすぐに投げ入れお互いがボールを取り合います。味方同士だとサインを決めて、どこに投げるか分かっているため、フェイントなどを使って相手を錯乱しボールを獲得します。
投げ入れたときは相手チームもボールを取ることが出来るためサインがバレバレの状態や、どこに投げるのか予想がつく場合だと相手にボールを取られてしまう可能性があります。一気にチャンスがピンチに変わってしまうので、このラインアウトも観戦するうえで楽しさの一つです。
味方の一人を二人が持ち上げるリフトアップという技があります。より高い位置でボールをキャッチするのが基本ですが、高い位置にボールを投げ入れなければいけないというルールはなく、どこでも投げていいので、相手の不意をついて一番手前の味方に低いボールを投げるという戦術もあります。
ボールを投げ入れる際まっすぐ投げないと「ノットストレートボール」という反則になります。
その他の反則について
- 「ノックオン」
ボールを前に落としてしまった反則。この反則はミスに近いため、一番起こしやすい反則です。試合が白熱している場面では、特に気合が入っている為、パスも早くなり精度も少し下がってしまうこともありノックオンしやすくなります。
このパスが通ればトライできる!という時にノックオンをしてしまった時は「やっちゃった感、半端ね~~」といったところでしょうか。例外としては、アクティブな試合中、ドロップゴールを狙って地面にボールをワンバウンドさせて蹴る場合にはノックオンにはなりません。ただし、キックが空振りしてしまうとノックオンとみなされます。
- 「スローフォワード」
自分よりも前にいる味方にパスを出した場合の反則になります。前に、前にという気持ちが大きいですが必ず自分より後ろ、又は真横にパスをしなければなりません。でもキックでのパスの場合は前に蹴ることができます。
- 「ノットリリースザボール」
タックルされた人は、倒れたらすぐにワンアクションを起こさなければなりません。これはワンアクションを起こさず、倒れ込んだままボールを離さなかった場合の反則です。すぐに立ち上がるか、自陣の方にボール置くなどのワンアクションが必要なのです。
状況としてはタックルされて倒され、味方のサポートが間に合わずに、人が少ない場合に起こりやすい反則になります。相手にボールを渡したくないから、つい持ったままでいちゃうんですよね。
- 「ハイタックル」
言葉の通り、肩より上へのタックルは危険行為にあたり重い反則になります。ハイタックルをした選手は、ほぼイエローカードで10分間の退場「シンビン」を食らうことが多いです。
相手の首や細い手を持って倒すなどの悪質なタックルは一発退場のレッドカードになり14人で戦うことになってしまいます。
- 「オフサイド」
オフサイドラインはボールが動くたびに変わります。基本的にラック、モール、スクラムがある中央にラインが引かれて、オフサイドラインが決まり、その場所からボールが離れたときにオフサイドラインが解消となり、自由に動けるようになります。このボールが離れる前に飛び出してしまったり、ラインを越えてしまっているとオフサイドとなります。
基本的にオフサイドはディフェンス側が特に気を付けなければなりません。オフサイドラインぎりぎりのところでボールが出てくるのを待ち、距離を詰めていかないと相手に陣地を進まれてしまいますから。
ディフェンスの理想としては、オフサイドラインを、どんどん押し返すのが理想ですが、相手も攻めてくるのでディフェンスでゲインし返すというのはかなり難しいです…なのディフェンス側は常にギリギリのところで守っていなければいけないので、特にオフサイドに注意が必要ということです。
「あの選手、なんでタックルに行かないの?!」というときには、オフサイドの位置にいる選手だったのかもしれません。
- 「アドバンテージ」
試合を観戦したことがある方は、審判がこの言葉をよく口にしているのを見たことがあると思います。
これはアクティブなプレー中に味方がボールを持っていて、相手側の反則があった場合、味方に有利な流れのままで試合が運ばれているので、そのまま続行しましょう~ということです。
しかし味方がボールを落としたり反則を犯してしまった場合、審判によって試合が止められ、アドバンテージが発生し、相手が反則を犯した場所から試合再開となります。
ここまで、いろいろな反則やルールを上げてきましたが、実はルールの数は、まだまだ沢山あって数えきれないほどです。しかし、あまり細かいルールは理解せずとも、ラグビーは十分楽しめるので「何か今、反則したんだな~」くらいで見ていてもOKだと思います。でもルールを知っていくと試合がもっと楽しくなってくるんですけど…
ラグビーは「紳士のスポーツ」と呼ばれています。たまに、喧嘩になりそうな時もありますけど試合は戦いですからね。…観戦していると熱が入ります!! サッカーや野球もそうですが日本代表戦はとても見どころがありますよね。ラグビーの日本代表戦を観戦するとき、ルールを少しだけ思い出して観戦してみてください。もっとラグビーが楽しいものになると思います。
最後にこの言葉で締めくくりたいと思います。
ノー ペイン ノー ゲイン
「no pain no gain」
「痛みなくして前に進めない」
常に大切にしたい精神でもあります。この精神があるからラガーマンはかっこいいのかもしれません。謙虚で紳士な、まさに、ロータリアンの皆様と一緒なのではないでしょうか…
私も気を抜かず、これからも頑張りたいと思います。
本日はご清聴、ありがとうございました。
卓話公開日 2025年 2月10日