「火災や救急事故の増える冬季への備え」
卓話者:東京消防庁 光が丘消防署
防火管理係長 山﨑直樹 氏
過去5年平均の月別の火災発生件数をみると、年平均340件であるのに対し、12月の440件から3月の371件まで冬季に集中して発生していることが分かります。通常の火災に加え、冬季は暖房器具の使用が増えるなどの要因が考えられることから、消防署では冬季を前にしたこの時期に「秋の火災予防運動」と題して全国展開のキャンペーンを展開し、火災予防をPRして火災被害の低減を図っています。
また、令和7年に入ってから都内で発生した火災による死者のうち、区市町村別に死亡者数をみると、10月末現在では残念なことに練馬区が6人と都内の区市町村でワースト1となっています。
このような悲しい被害をこれ以上拡大させないために、いくつかの火災事例とともに予防のポイントについて紹介させていただきます。
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初めにストーブによる火災です。電気ストーブは裸火がなく便利ですが、衣類や寝具などが接触して火災になることから、就寝中外出時には必ず電源を切りましょう。また、直接触れなくても熱が伝わることから、周囲にスプレー缶などを置かないようにしましょう。
次にご紹介するのは着衣着火による火災です。寒くて衣類を着込むと袖や裾などがこんろの火に接触して着火しやすくなります。フリースなどの起毛した衣類は表面に火が付くと急速に燃え広がるため注意が必要です。
台所で発生する火災で多いのが油を加熱したままその場を離れることによる火災です。油が発火する前には多量の煙が生じ、その場にいればほとんどの場合が気付くことができるため、絶対にその場を離れないようにしましょう。また、油火災の消火時に水をかけると、高温の油で消化水が急激に沸騰し、押し出された油がミスト状になってこんろの火で引火して急激に燃え広がってしまうため、粉末消火器などで消火しましょう。
火災だけでなく、冬季は救急事故も増加する傾向にあります。なかでも冬季に集中して多いのが高齢者の方のおぼれる事故です。令和5年に発生した460人の事故のうち6割の280人が12月から3月までに集中しています。高齢者のおぼれる事故は約9割が生命の危険がある重傷以上の事案となっているため、飲酒後の入浴を控える、脱衣所や浴室の適切な温度調節を行うほか、熱いお湯や長風呂に注意するなど対策をとりましょう。
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これらのポイントに気をつけて、安心で安全な毎日をお過ごしください。
卓話公開日 2025年 11月10日